「わぁ、いつものお父さんになったぁ。」
私が患者様の髪を刈り上げて、終わりと言ったら
東北訛りの老年の奥様が、歓声をあげた。
勉強中にバイトしていた東京の病院で、
あと少しかもというとき
Eさんはかつて、職人さんで髪はいつも絶対5mm程度に拘っていたと伺った。
大人の病院は、あまり御面会に来られないことも多く、
私もバイトだったのでEさんの背景は初めて知った。
その時、Eさんの髪は2cmくらいで。。
正直それほど伸びてもいなかったし、気にもならなかった。
「お父さん、喋れてたら“我慢できん”そう言うと思うわぁ。」
と奥様が教えてくれた。
一緒にいた姪っ子さんも、
「頑固一徹な伯父で。。譲らない人だから(笑)」と言うし。。
私もまた、このままその時を迎えて頂いてはならんみたい気持ちになって
“ちょっとムラにはなるけど、切りましょうか?”と口に出してしまった。
御家族一同、「そりゃあ、お父さんはそれがいいって言うよ。」と大喜びの中
私のにわか散髪屋が開始となった。
いつも書くけど、小心者なので。。
この間に息が止まっちゃったらどうしよう?とか
まさか、前だけって訳にはいかないよなぁ。。後ろ切るとき呼吸大変じゃないかな?
とか、ひやひやしながら病院の切れが悪いバリカンで汗だくで刈り上げた。
「いつものお父さん」ものすごい大きな衝撃の言葉だった。
こんな何年経っても、想いが残る言葉が頂けるなんて思っていなくて。
(私から見ると、おんなじ感じの坊主頭なのですがね。)
御家族から見たら、病院でベッドに居るお父さんはいつもではないのですよね。
グリーフケアってなんでしょう?
その方らしい姿で送れたら、その方らしい何かがあったら
後から辛い姿だけが残らないのかもしれません。
Eさん、教えて頂きありがとうございます。
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